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明石市西新町2-3-4 ベルクビル1F

休診日:木曜・土曜午後、日曜、祝祭日
※水曜午前・午後は森先生、それ以外は院長の診察です。

診療時間
9:00~12:00
(受付8:30~12:00)
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(受付16:30~18:50)
●※

呼吸器内科

Respiratory

肺気腫

最近肺気腫の患者さんが多くなってきています。肺気腫とは呼吸細気管支と肺胞が拡張し破壊される病気です。肺胞とは酸素と二酸化炭素を交換する組織です。拡張、破壊により息を吸うときには肺に空気が入っていきますが、はき出すときにうまく空気が肺から出ていかなくなります。さらに進行するとブラという袋を形成してしまいます。ブラは呼吸循環が出来ません。単なる袋ということになってしまいます。また肺全体が膨張し、呼吸筋である横隔膜を押し下げたり心臓を圧迫したりし、肋骨と肋骨の間が開いてきます。

肺気腫の原因は不明ですが肺気腫患者の8割が喫煙者であることが報告されています。またα1-トリプシンという酵素が先天的に欠損している場合に、環境因子が加わって発症する事も分かっています。喫煙が最大の要因と言われており、また副流煙も問題です。遺伝的因子がないとすればとにかく禁煙が大切といえます。たばこ以外には肺組織の老朽化、慢性の気管支炎、大気汚染などが関与していると思われます。

多くの肺気腫患者の人はやせていることが多いのですが、そうでない場合もあります。息切れ、咳、痰が主な症状ですが初期の場合は症状が出ません。というのも症状が出るほどの運動をしない人が多いからです。また風邪などの感染症や肺高血圧を伴うと呼吸困難になったり咳が出たりします。診断は胸部レントゲンでもできますが、当院で行っている肺機能検査ですぐにわかります。さらにCT検査を行う場合もあります。

肺気腫の治療の第一は禁煙です。禁煙しない限り、肺気腫は進行します。禁煙治療が保険で出来るようになっています。当院でも呼気ガス中一酸化炭素測定装置を備えており保険診療が可能となります。肥満の人は呼吸筋力を増強するために体重を落とすことも大切です。やせすぎの場合はタンパク質を多くとるようにすることが大切です。また軽度の運動も必要となります。

初期の治療薬としては気管支の拡張剤や痰を出しやすくするために去痰剤を使用します。気管支拡張剤としてはテオフィリン製剤、β刺激剤などがあります。β刺激剤は錠剤、シロップ、吸入液、エアロゾル、貼布薬などがあります。時にはステロイドを使用することもあります。進行してきますと呼吸リハビリテーションが必要になります。
さらに進行すると呼吸困難がひどくなり運動ばかりでなく、歩行など日常生活にも支障を来すようになりますので酸素療法を行うことがあります。呼吸困難の状態では心臓に負担が来るようになり心不全を来すことがあります。したがって進行した呼吸不全の場合は早期に酸素療法を導入して心臓への負担を軽減することも考慮されます。

多くの人はギリギリまで酸素療法に抵抗があるようで、逆に酸素療法を導入してからの予後は平均生存期間は5年ほどと悪いのが一般的です。酸素療法に踏み切る頃にはかなり心不全が進行してしまっていることが多いのです。早期に治療、酸素療法を行って寿命を延ばすことが必要と考えられます。
特に風邪や肺炎などの感染症があると呼吸困難が強くなりますので“"風邪気味”で済まさないで早期に治療を受けることが必要となります。
時に外科治療を行うことがあります。これは多発する嚢胞を縮小させることで、生理的死腔を減少させて肺全体の容積も縮小させ横隔膜や肋間筋の運動制限を軽減して呼吸状態を改善させるものです。

気管支喘息

慢性的に気流閉塞を示す疾患には慢性閉塞性肺疾患(COPD; Chronic obstructive pulmonary disease))、気管支喘息、さらに気管支喘息とCOPDが合併した病態であるACOS(asthma and COPD overlap syndrome)があります。COPDとは「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することで生じた肺の炎症性疾患である。呼吸機能検査で正常に復することのない気流閉塞を示す。
気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変が様々な割合で複合的に作用することにより起こり、通常は進行性である。臨床的には徐々に生じる労作時の呼吸困難や慢性の咳、痰を特徴とするが、これらの症状に乏しいこともある」と定義されます。
また気管支喘息は「成人喘息は気道の慢性炎症、可逆性のある種々の程度の気道狭窄と気道過敏性の亢進、そして、臨床的には繰り返し起こる咳、喘鳴、呼吸困難で特徴づけられる閉塞性呼吸器疾患である」と定義されます。ACOSは「喘息に関連づけられるいくつかの特徴とCOPDに関連づけられる」とされています。したがってACOSは喘息とCOPDの療法の特徴を有します。

これらの疾患の治療は、喘息は吸入ステロイド(ICS; inhaled corticosteroid)およびICSと長時間作用性β2刺激薬(LABA; long acting β2 agonist)の配合薬(ICS/LABA)が中心であり、長時間作用性抗コリン薬(LAMA; long-acting muscarinic antagonist)はステップ3の治療を行っても症状が残る重症持続型喘息で用いられます。COPDはLAMAとLABAによる気管支拡張療法が中心で、ACOSと増悪を繰り返す症例にはICS/LABAを使用します。

COPDの診断では、胸部X線(レントゲン)検査・CT(コンピュータ断層撮影)検査やスパイロ検査などを実施します。肺や気管支の状態をさらに詳しく調べるために、HRCT(より精密に撮影ができる高分解能CT)やヘリカルCT(X線を体にらせん状にあてて、体の内部を立体的にみるCT)などの検査をすることもあります。

スパイロ検査はCOPDの診断には欠かせません。この検査では、スパイロメーターという測定器械を使い、肺活量と息を吐いた時の空気の通り具合を調べます。検査方法は、測定用のマウスピースをくわえた状態で、いっぱいに吸った息をできるだけ速く吐きだすという簡便なものです。
スパイロ検査は、息を吐くときの空気の通りやすさを調べます。COPD患者さんでは、息が吐き出しにくくなっているため、1秒量(FEV1)を努力肺活量(FVC)で割った1秒率(FEV1%)の値が70%未満のとき、COPDと診断されます。また病気の進行に伴い、1秒量が予測値(年齢、性別、体格が同じ日本人の標準的な値)よりも低くなっていきます。

COPDの病期は予測1秒量に対する比率(対標準1秒量:%FEV1)に基づいて分類されます(下記の表を参照)。またCOPDの重症度は、呼吸機能に加えて労作時の呼吸困難などの症状や運動能力低下の程度、併存症の有無、増悪の頻度などから総合的に判定されます。スパイロ検査は当院で受けられます。喫煙歴のある40歳以上の方は、ぜひ一度スパイロ検査を受けてください

現時点でCOPDを根本的に治し、もとの健康的な肺に戻す治療法はありませんが、少しでも早い段階で病気に気づき適切な治療を開始することで健康状態の悪化と日常生活の障害を防ぐことができます。COPDの治療法としては、禁煙、薬物療法、呼吸リハビリテーションなどが行われます。
さらに重症になれば、酸素療法や外科療法が行われることもあります。また、喘息を合併している場合や骨粗鬆症、心・血管疾患、消化器疾患、抑うつが併存する場合、肺合併症がある場合にはそれらを考慮した治療が必要になります。

禁煙;COPD治療の第一歩は禁煙です。喫煙を続けるかぎり、病気の進行を止めることはできません。まずは、きっぱりとたばこをやめることが重要です。たばこに対する依存性の強い人は当院で処方しているコチンパッチやニコチンガムなどのニコチン代替療法や、非ニコチン製剤の飲み薬を使って、禁煙する方法もあります。

ワクチン;COPD患者さんは、感染症が重症化しやすくかつCOPDの増悪原因となることから、ワクチンの接種が重要です。増悪を防ぐためのワクチンにはインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの2種類があります。特にインフルエンザワクチンは重篤な増悪を減少させ、死亡率も約50%減少させると報告されています。また、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを併用することによって、インフルエンザワクチン単独の場合に比べCOPDの感染性増悪の頻度が減少することが報告されています。すべてのCOPDの人とその家族、介助者にも接種をお勧めします。

薬物療法;COPDの治療目標は病気の進行をくい止めて、QOL(quality of life:生活の質)を改善し、少しでも健康的な生活が送れるようにすることです。COPDでは気管支が収縮し、呼吸が苦しくなるため、気管支を拡げて呼吸を楽にする気管支拡張薬が薬物治療の中心となります。その他、痰をとる喀痰調整剤、感染症を防ぐ抗生物質や、増悪を繰り返す場合には吸入ステロイド薬を使用することもあります。

気管支拡張薬

短時間作用性抗コリン薬および短時間作用性β2刺激薬;短時間作用型の気管支拡張薬は運動時や入浴時など日常生活での呼吸困難の予防に有効です。気管支を拡げる作用は抗コリン薬の方が強く、気管支を拡げる効果はβ2刺激薬の方が速くみられます。

長時間作用性抗コリン薬;COPD患者さんで最も効果を示す気管支拡張薬と考えられています。長期間使用しても効果が弱まることがありません。長時間作用性抗コリン薬は、1回の吸入で作用が24時間持続し、1秒量や努力肺活量の改善効果が翌朝まで認められます。長期的には、COPD患者さんの疾患の進行や死亡率を抑制する可能性が報告されている薬もあります。一方、閉塞隅角緑内障の患者さんでは禁忌であり、前立腺肥大症患者さんの排尿困難症状を悪化させることがあります。

長時間作用性β2刺激薬;β2受容体を刺激することで気管支平滑筋に働き気道を拡張します。吸入型の長時間作用性β2刺激薬は1回の吸入で作用が12~24時間持続し、長期間使用しても効果の減弱を認めません。わが国では、効果は劣るものの夜間症状やQOLの改善に優れた、貼付型のβ2刺激薬も使用されます。

メチルキサンチン;一般的に1秒量の改善効果は吸入の気管支拡張薬より小さいとされますが、末梢気道の拡張作用や呼吸筋力の増強作用が報告されています。また、低用量テオフィリンは気道の炎症細胞を減少させることが示されています。

ステロイド(グルココルチコイド)

長期間作用性β2刺激薬 / 吸入ステロイド薬配合薬;長期間作用性β2刺激薬 / 吸入用ステロイド薬配合薬は、それぞれ単剤で使用するよりもCOPD患者さんの呼吸機能や運動耐性能、呼吸困難感を改善し、増悪頻度も減少させます。長期的には気流閉塞の進行を抑制する可能性が報告されています。ステロイド薬の経口・注射投与増悪時には経口あるいは注射によるステロイド薬投与が有効です。現在ではβ刺激薬、抗コリン薬、ステロイドの3種類が入った合剤の吸入薬もあります。抗生物質と併用されることもあります。

喀痰調整薬 COPDの増悪頻度と増悪期間を減少させることが示されています。

マクロライド COPDの増悪を抑制することやQOLを向上させることが報告されています。

呼吸リハビリと在宅酸素療法について

呼吸リハビリテーションは、呼吸器の病気によって生じた障害を持つ患者さんに対して、可能な限り機能を回復、あるいは維持させ、これにより、患者さん自身が自立できるように継続的に支援していくための医療です。その中でも中心となるのが運動療法で、自覚症状の軽減、運動能力の向上、QOLの向上といった効果が期待できます。

酸素療法;肺機能の低下が進むと、普通の呼吸では十分に酸素を取り込めなくなり、低酸素血症を起こし、呼吸不全という症状に陥ります。家庭で持続的に酸素を吸入する在宅酸素療法を行うことで、患者さんのQOLが向上し、生存率が高まります。

在宅酸素療法の適応となる患者さんの多くはⅣ期(極めて高度の気流閉塞)です。薬物療法などを行っても、1ヵ月以上低酸素血症が持続している人で、通常の呼吸で動脈血の酸素分圧が55Torr以下の場合、あるいは動脈血の酸素分圧が60Torr以下で、運動時や睡眠時に顕著な「低酸素血症」を起こす場合です。
さらに、病態が安定しており、他に入院などして治療する必要がないことも条件となります。また、医学的な適応条件だけでなく、患者さん本人の自己管理能力や、住まい、介護者の有無、生活パターンなど、多面的な条件を考慮する必要があります。

外科・内視鏡手術;COPD治療の中心は内科的治療ですが、さまざまな内科的治療を行っても症状が改善しない場合、外科的な治療が行われることもあります。COPD患者さんは、肺胞が破壊され、弾力性を失って、肺が膨張しています。一部だけが膨張した肺を縮小させるために、極度に破壊された肺の一部(20~30%)を切除する手術が行われます。その手術には、開胸しないで胸腔鏡を用いる方法も使われます。外科的治療がすべてのCOPD患者さんに効果があるわけではなく、また根本的な治療でもないため、十分に医師や家族とともに検討することが必要です。

災害時の対応;地震などの災害時の対応については、平常時から起こりうる状況を想定し、対策を準備しておくことが重要です。特に、在宅酸素療法などの在宅で機器を使う治療を行っている場合、酸素供給が途切れるなどした場合の行動について、患者さん本人に加えて家族の方やヘルパーなども、平常時から以下のような項目について把握し、準備しておくことが重要です。

  • ・ボンベなどの備蓄と切り替えのタイミングや動作、酸素なしで許容される時間
  • ・口すぼめ呼吸のトレーニング(酸素供給が途絶えた際の不安や低酸素血症の緩和に有効)
  • ・パルスオキシメーターの使用と考え方
  • ・酸素吸入量の調節の許可についての確認
  • ・病院や酸素業者への緊急連絡の方法
  • ・避難先
  • ・薬剤が切れたときの対処法

また在宅酸素療法を行っているCOPD患者さんの場合には、酸素供給が途切れてもすぐには問題は起こりませんので、実際に災害が起きたときにはパニックにならずに落ち着いて対処することが大切です。
COPDでは、呼吸困難、せき、痰などの症状が短期間で急激に悪化することがあります。呼吸困難が悪化する、たんが増える、痰が粘っこくなるなどの症状が急に現れたら、早めに受診して下さい。

気管支拡張症

気管支拡張症とは、気管支が非可逆的な拡張をきたした病態です。気管支が拡張すると、気管支の浄化作用が低下し、痰がたまって細菌などが繁殖しやすく気管支炎や肺炎にかかりやすくなります。また、拡張した気管支には血管が増え、血痰や喀血も出現することがあります。

原因としては、出生時より気管支拡張が存在する先天性の気管支拡張症があります(原発性線毛機能不全症候群など)。また後天性のものとしては気管支繊毛運動の機能異常により、気道感染を繰り返して気管支拡張症が出現するものがありますが、この場合、副鼻腔炎を合併することが多くみられます。
また幼少時期の重症呼吸器感染症で病気部位の気道が損傷を受け、その部位で感染を繰り返し、気管支拡張症が出現するものがあります。そのほかに肺結核、肺化膿症、塵肺などの他疾患に引き続き発症する気管支拡張症があげられます。

症状としては色のついた痰(黄色から緑色のことが多い)と咳が一緒に出ます。発熱を伴うこともあり、感染が拡がると呼吸困難が出現します。痰に血が混じったり、喀血がみられることもあります。かぜなどをきっかけとして起きる増悪期には、発熱や膿性痰が増加し、呼吸困難を伴うこともあります。血痰が出た時にまず考えるのが、肺ガンと気管支拡張症です。

診断は胸部X線写真で、気管支拡張像を確認します。昔は、気管支造影検査(気管に造影剤を入れる検査〈造影剤を回収しないので肺に自然に吸収されるのを待つ〉で、検査後発熱する)を行って拡張した気管支を確認しました。今は、胸部CTの画像が飛躍的に改善しているため、CTで十分診断ができます。胸部X線写真やCT検査で円筒状や袋状に拡張した気管支を認めることで診断します。分泌物が増加しているとわかりやすいことが多いです。

気管支拡張症の治療は、感染症の完治、粘液の貯留や炎症症状の軽減、気道の閉塞の緩和、喀血や血液中の酸素濃度の低下、呼吸不全、肺性心といった合併症の予防などです。無症状なら、治療をしないで経過を観察することもあります。せき止め薬は症状を悪化させることがあるため、使用すべきではありません。

感染症は、抗生物質、気管支拡張薬や分泌物を吐き出しやすくする理学療法によって治療します。抗生物質は、特に嚢胞性線維症の患者では、再感染を予防するために長期間投与します。炎症症状や粘液の貯留に対しては、吸入ステロイド薬などの抗炎症薬や、膿や粘液を薄める粘液溶解薬を投与しますが、粘液溶解薬の効果は明らかではありません。粘液を吐き出しやすくするため、体位ドレナージや軽打法が行われます。血痰に対しては止血剤の投与を行い、喀血が大量の場合や続く時には、血管を塞ぐ治療(気管支動脈塞栓術)や外科的手術を行う場合もあります。

肺癌

肺癌とは気管支及び肺実質から発生した上皮性悪性腫瘍で多彩な組織像を示し、その発症部位や進展方式は組織型によって大きく異なります。肺癌はその生物学的特徴から小細胞癌と非小細胞癌に分けられ非小細胞癌は主に腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌に分類されます。

肺癌の死亡者数は1955年以降男女とも一貫して増加しており、現在約5万人程度とされています。1993年には男性の癌死の第1位となり1998年には男女合わせた全体でも1位となりました。発症年齢は40歳代から増加し60~70歳代に発症のピークがあります。発生原因の第1位は喫煙で扁平上皮癌、小細胞癌の発生に大きく関与しているといわれてます。喫煙本数/日×喫煙期間(年)のsmoking indexが肺癌死亡率と密接な関係があり、特にsmoking indexが800以上で発症の危険率が高くなります。

a.肺癌の症状

初発症状は咳(49.3%)、痰(23.7%)、血痰(19.0%)、胸痛(15.8%)、呼吸困難(6.3%)、やせ(5.8%)、発熱(4.8%)、嗄声(4.0%)(させい:声がかれる)などです。症状は原発巣の位置、場所によって差があり末梢型では無症状か胸膜に近いと胸痛を呈します。これに対し肺門型では咳、痰が早期からみられ血痰も早期にみられることがあります。
また進展するにつれて喘鳴、呼吸困難をみることがあります。 閉塞性の肺炎を起こすこともあり発熱、咳、痰などの肺炎症状を呈することもあります。上大静脈症候群(上大静脈から心臓への還流がとめられ、静脈圧が上がり、上半身の静脈の怒脹、顔面・頸部のうっ血、浮腫を生じて頭重感、顔面発赤、チアノーゼ、呼吸困難、意識障害などを生じます)、Pancoast症候群(肺尖にある癌が肺外へ連続浸潤性に進展して、肋間神経、上腕神経叢、交感神経に浸潤して肩部から尺骨側に掛けての疼痛、上肢筋の萎縮、Hornerホルナー症候群(縮瞳、眼瞼下垂)を示す)等を示すこともあります。
胸膜や心嚢への浸潤では疼痛、液体貯留、呼吸困難などを示し、遠隔転移で脳へ転移すると頭痛、悪心・嘔吐、運動麻痺などの神経症状、骨転移では局所疼痛、肝転移では肝腫大、肝機能異常、黄疸などを生じます。

b.肺癌の発生部位

肺癌は発生部位から肺門型(中枢型)と肺野型(末梢型)に分類されます。肺門とは肺に気管支が入るところであり心臓から肺動脈や肺静脈などの大血管が出入りしているところです。肺門型は太い気管支の部分に癌がありますので痰の検査で発見されることがあります。
レントゲン検査では心臓の陰影に隠れて発見が遅れることが多いのと心臓に近いため治療が困難であることもしばしばあります。肺野型肺癌は細気管支や肺胞の部分の肺癌ですので痰の検査で発見されることは少なくCTやレントゲンで分かることが多くなります。

c.肺癌の分類

肺癌は一般的にその特徴から小細胞癌と非小細胞癌に分類されます。非小細胞癌は主に腺癌、扁平上皮癌、、大細胞癌からなります。その他肺の悪性疾患として腺扁平上皮癌、カルチノイド、腺様嚢胞癌、粘表皮癌、癌肉腫などがあります。

c-1.腺癌(adenocarinoma)
腺癌は肺癌全体の約40%を占め最も頻度の高い組織型です。女性の肺癌の80%を占め非喫煙者に多いのも特徴です。ほとんどの場合気管支肺胞の末梢に発生して孤立結節型の増殖を示し胸部エックス線写真では結節影を示します。

c-2. 扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)
扁平上皮癌は腺癌に次いで多く肺癌の約35%を占めます。多くは喫煙者に多く男性に多く発症部位は肺門部の主気管支や葉気管支に多く発症します。気管支上皮を癌組織で置換しながら進展し、気管支腔の狭窄や閉塞をきたします。

c-3. 大細胞癌(large cell carcinoma)
大型の腫瘍細胞の増殖を認め、腺癌、扁平上皮癌、及び小細胞癌の形態的特徴を示しません。一般に増殖が早く発見時には大きな腫瘍を形成していることが多いようです。発生部位は亜区域枝より末梢で気管支内にポリープ状に突出することが多く周囲に圧排増殖します。組織学的には粘液形成型、粘液非形成型、巨細胞型に分類されます。

c-4.小細胞癌(small cell carcnioma)
原発性肺癌の約15%を占めきわめて悪性度が高いものです。発見時に遠隔臓器やリンパ節に転移していることが多く喫煙者で男性に多く発症します。多くは肺門型で区域枝から亜区域枝の上皮基底膜近辺に発症し気管支粘膜の下を長軸方向に浸潤します。転移が早いため外科手術は行われず化学療法や放射線療法が行われることが多いのですが、他の組織型と違い化学療法、放射線療法が非常に効きます。

d.肺癌の診断

d-1.喀痰細胞診
気管支、肺から喀出される痰を顕微鏡下で観察することによりガン細胞が含まれているかどうかを見るものです。ガン細胞の組織型が分かることがあり、また胸部X線検査で分からない(心臓の陰に隠れて見えない)太い気管支に発生したような扁平上皮癌などが早期に分かることがあります。

d-2.胸部X線・CT検査
肺癌の診断に最も大切な検査であり初期の肺癌では全く自覚症状がないため定期的検査が必要となります。胸部CTは心陰影の後ろの影も分かりその発生部位、大きさ、特徴を知るのに有用です。

d-4.気管支鏡検査
胸部X線検査やCT検査で肺癌を疑わせる所見があった場合その陰影の中にガン細胞がいるかどうか、また癌であればその組織型は何かを調べる必要があるため気管支に胃内視鏡よりもかなり細い気管支鏡を挿入して組織の一部を採取したり、気管支内を洗浄してその洗浄液を調べたりします。

d-5.CTガイド下肺生検、胸腔鏡下肺生検
気管支鏡による診断が困難で、陰影が胸壁から比較的近い場所にある場合には胸壁から肺に到達する方が容易です。CTガイド下肺生検はCTで場所を確認しながら外から針を刺して組織の一部を採取するものです。胸腔鏡下肺生検は全身麻酔下で胸壁に穴を2,3カ所開け器具を挿入して組織の一部を採取します。

その他転移、病期の診断に.MRI検査、シンチグラフィー等が用いられます。腫瘍マーカーは血液検査で治療効果の判定、経過観察には用いられますが、これだけでは診断は出来ません。

e.病期分類

肺癌の病期分類とは癌細胞の広がりの程度を示すもので肺癌の進行度を示します。この病期分類は治療法に大きく関わります。病期分類はTNM分類が一般に用いられ肺ガンが発症した部位での癌の広がり(T)、リンパ節への広がり(N)、遠隔転移の有無(M)があります。病期分類はⅠ期からⅣ期に分かれⅠ期;癌が発生部位にだけ限局し、近くのリンパ節にも及んでいないもの、Ⅱ期;癌が発生部位と最も近傍にあるリンパ節にしか及んでいないもの、Ⅲ期;左右の肺に挟まれた中心部にあるリンパ節にまで及んでいるもの、Ⅳ期;遠隔転移のあるものとされます。

所属リンパ節 (N:Regional lymph nodes)
・NX:所属リンパ節が評価できない ・N0:所属リンパ節に転移がない ・N1:同側気管支周囲リンパ節と同側肺門リンパ節転移の少なくとも一方、そして原発腫瘍(癌)の直接進展を含む肺内リンパ節転移 ・N2:同側縦隔リンパ節と気管分岐下リンパ節転移の少なくとも一方 ・N3:対側縦隔リンパ節、対側肺門リンパ節、同側または対側の斜角筋前リンパ節(scalene)、鎖骨上リンパ節転移

遠隔転移 (M:Distant metastasis)
MX:遠隔転移が評価できない。・M0:遠隔転移がない。・M1:遠隔転移がある。(注:M1は異なった肺葉の(同側あるいは対側)離れた腫瘍(癌)結節を含む)

f.治療

肺癌の治療法は外科療法、化学療法、放射線療法が主体となります。これらのうちどれを選択するかは癌の組織型、進展度、全身状態、肺肝心などの主要臓器の機能、合併症の程度によります。

d-1.小細胞癌
小細胞癌は早期に転移することが多く、TNM分類(No.122参照)ではその予後との関係が不十分で、放射線治療の観点から1照射野かどうかの基準として限局型(LD;limited disease)、進展型(ED;extensive disease)分類が用いられることが多くなります。限局型小細胞癌では化学療法と放射線療法の併用が標準的治療となっています。最近ではシスプラチンとエトポシドという抗ガン剤と多分割照射の併用が有効とされています。進展型小細胞肺癌では化学療法を3~4コース施行後後有効か著効した場合に原発巣または縦隔などに放射線照射を追加することが検討されます。50%生存期間は10ヶ月ほどとされており患者さんの体力にも治療法は大きく左右されます。

d-2.非小細胞肺癌
非小細胞肺癌は病気によって治療法が変わります。0期では手術療法が主体ですが、多発する例では内視鏡治療なども行われます。Ⅰ期、Ⅱ期は手術療法が第一適応です。手術後の補助療法(化学療法、放射線療法)は生存期間の延長に寄与しません。Ⅲ期のうちⅢA期は手術療法が選択されますが、N2症例には手術単独では予後不良であり、集学的治療の対象となります。

ⅢA期の手術単独療法の5年生存率は小細胞癌における病期分類(LD/ED分類)20%前後です。
 Ⅳ期の場合は積極的治療は行われず症状の緩和に治療の主体がおかれます。

胸部レントゲン(エックス線写真)の重要性

上述したように肺癌の予後はあまり良くなく治療成績も満足できるものではありません。まずは早期発見が大切です。出来れば最低年3回の胸部レントゲン検査が大切です。我々は医療で受ける放射線の他に宇宙や大地、そして食物や大地などの自然界から様々な形で避けることのできない自然放射線を受けています。その合計線量は年間で約2.4mSv(ミリシーベルト)になります。自然放射線を受けても人体への影響は認められません。X線検査の放射線量は胸部写真で1回に約0.1mSVで自然放射線の1/20以下です。CTでも20mSv程度です。風邪を引いたりしたときに念のために胸部レントゲンを撮ることも必要なのです。

間質性肺炎

「呼吸」は吸った空気(吸気)を、気道を介して、肺の奥にある「肺胞」と呼ばれる部屋に運び、肺胞の薄い壁の中を流れる毛細血管中の赤血球に酸素を与えると同時に二酸化炭素を取り出すガス交換をし、それをまた呼気として吐き出す運動で、生きていくために欠かせない作業です。
間質性肺炎は、さまざまな原因からこの薄い肺胞壁に炎症をおこし、壁が厚く硬くなり(線維化)、呼吸をしてもガス交換ができにくくなる病気です。肺胞壁は保たれていても、肺の最小単位である小葉を囲んでいる小葉間隔壁や肺を包む胸膜が厚く線維化して肺が膨らむことができなくなる病態も知られるようになりました。線維化が進んで肺が硬く縮むと蜂巣病変といわれるような穴(嚢胞)ができて胸部CTで確認されます(図2)。
通常、肺炎といった場合には気管支もしくは肺胞腔内に起こる炎症を指し、通常は細菌感染によるものを指しますが、間質性肺炎の場合は支持組織、特に肺胞隔壁に起こった炎症であり、肺胞性の肺炎とは異なった症状・経過を示します。肺コンプライアンスの低下 いわば「肺が硬くなる」、肺の支持組織が炎症を起こして肥厚することで、肺の膨張・収縮が妨げられます。肺活量が低下し、空気の交換速度も遅くなります。ガス交換能の低下 間質組織の肥厚により毛細血管と肺胞が引き離されその結果、血管と肺胞の間でのガス交換(拡散)効率が低下し、特に酸素の拡散が強く妨げられます。

間質性肺炎(interstitial pneumonia (IP))は肺の間質組織を主座とした炎症を来す疾患の総称です。治療の困難な難病で、進行して炎症組織が線維化したものは肺線維症と呼ばれます。
間質性肺炎の原因には、関節リウマチや多発性皮膚筋炎などの膠原病(自己免疫疾患)、職業上や生活上での粉塵(ほこり)やカビ・ペットの毛・羽毛などの慢性的な吸入、病院で処方される薬剤、漢方薬、放射線治療による副作用、サプリメントなどの健康食品、マイコプラズマ、ウイルスなど特殊な感染症など様々あることが知られていますが、原因を特定できない間質性肺炎を「特発性間質性肺炎」といいます。

間質性肺炎のうち特発性間質性肺炎は日本の特定疾患に指定されています。間質性肺臓炎(interstitial pneumonitis)ともいわれます。1989年6月には、美空ひばりがこの病因により、52歳で死亡し注目されました。

その病態から、症状としては呼吸困難や呼吸不全が主体となります(息を吸っても吸った感じがせず、常に息苦しい)。また、肺の持続的な刺激により咳がみられ、それは痰を伴わない乾性咳嗽です(痰は気管支や肺胞の炎症で分泌されるため)。肺線維症に進行すると咳などによって肺が破れて呼吸困難や呼吸不全となり、それを引きがねとして心不全を起こし、やがて死に至ることもあります。

間質性肺炎の治療では原因が判明した場合は、原因の除去が第一です。これに加えて、膠原病などの場合は、副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤が、副作用に注意しながら慎重に使用されます。「特発性間質性肺炎」については、未だに治療法が確定していないのが現状です。一般に、安定期と急性増悪期とで治療が異なります。

1)安定期:
 本疾患は、慢性に経過し、活動性に乏しい時期が数年間続きます。この時期には、あまり激しい治療を行いません。選択肢として、 ①何もせず、経過観察のみ、②副腎皮質ホルモンの少量内服、③ムコフイリン(NAC)の吸入、などがあります。

2)急性増悪期:
 感冒、肺炎などの感染を契機に、突然急激に悪化することがあります。これを、急性増悪(きゅうせいぞうあく)と言います。このような場合、感染を十分にカバーする抗生物質を併用しながら、副腎皮質ホルモンの大量療法(ステロイドパルス療法)を行います。しかし、効果が一時的で、最終的には、亡くなられることが多いのが現状です

a. 薬物療法
 現在治療効果が認められている薬剤は、副腎皮質ステロイド剤と免疫抑制剤の2種類です。また特発性肺線維症に対しては、抗線維化剤(ピルフェニドン)が使用されます。これらの治療が効きやすい病型とそうでないものとがあるため、間質性肺炎のすべてにこれらの薬剤が有効である訳ではありません。またいずれの薬剤も副作用が多いため、病状の進行が緩やかな場合には、これらの薬剤による治療を行わず、経過をみた方が良い場合もあります。これらの薬剤の他に、咳や痰が多い場合に鎮咳剤や去痰剤を使うなどの対症療法が行われることがあります。

b. 酸素療法
 血液中の酸素が不足して日常生活に支障がでる場合などに行います。ご自宅に酸素濃縮器または液体酸素のタンクを設置して、鼻から酸素を吸入します。外出時には小型の酸素ボンベを携行します。血液中の酸素分圧などが基準値を満たせば、健康保険が適応されます。

生活上の注意点としてタバコを吸っている方は直ちに禁煙してください。それ以外は、とくに生活面での注意はありません。ただ漢方薬などの薬剤や健康食品が原因で間質性肺炎が起きたり、悪化したりする事例が報告されています。他の医療機関からの処方も含めて、薬剤は最小限にし、服用されている薬剤、健康食品については、すべて医師に教えてください。
また間質性肺炎はかぜなどの感染症をきっかけとして、急性増悪することがあります。急性増悪の症状としては、発熱や急激に悪化する呼吸困難、咳、痰などがあります。かぜを引かないように冬場は人ごみを避けるなどの一般的な注意の他、該当する症状がある場合にはすぐに受診するようにしてください。

間質性肺炎で労作時の息切れなどの自覚症状をともなって医療機関を受診される患者さんは10万人あたり10~20人といわれていますが、診断されるにいたっていない早期病変の患者さんはその10倍以上はいる可能性を指摘されています。線維化が進行すると治療が効きにくくなって難治化するために死亡率が高くなり、患者数が多くならないという側面もあります。このうち認定基準を満たして国内で新規登録された患者数の内訳は、特発性肺線維症の患者さんが80~90%と最も多く、次いで特発性非特異性間質性肺炎が5~10%、特発性器質化肺炎が1~2%ほどです。ただし症状が軽いために認定基準の重症度を満たさない多くの患者さんをいれるとこの比率も変わってくることが予想されます。

症状としては呼吸困難(息切れ)や咳嗽(せき)が主な症状です。咳は多くの場合、痰を伴わない、乾いた咳(乾性咳嗽)が出ます。息切れは最初は階段や坂道を昇った時に感じる程度ですが、進行すると呼吸不全の状態となり、着替えなどの動作でも息切れが出て、日常生活が困難になることもあります。症状の進むスピードは間質性肺炎の種類によります。特殊な病型を除いて、息切れや咳などの症状が出はじめて、日常生活に支障を来たすようになるまで数年程度かかります。

診察上特徴的なのは胸部聴診音で、パチパチという捻髪音 fine crackleが知られています。これはマジックテープをはがす音に似ているため、マジックテープのメーカー(ベルクロ社)にちなんでベルクロラ音とも呼ばれます。また、呼吸器障害を反映してばち指がみられることもあります。間質性肺炎の検査としては以下のようなものがあります。

a.胸部画像検査(単純X線およびCT); 肺の中での病変の広がりや肺の縮み具合を見ます。またCTでは間質性肺炎の中のどの病型かをある程度見分けることが可能です。胸部X線の場合、間質性肺炎の初期には肺の下の方または肺全体がぼやっと白っぽく見えるすりガラス様陰影(ground-glass opacity)が特徴的です。さらに線維化が進むと、縮んでつぶれてしまう肺胞がある一方、一部の肺胞が拡大し、嚢胞と呼ばれる空気の袋になります。肺の表面の嚢胞が並んでいると、ちょうどハチの巣のように見えるため、この状態を蜂巣肺(ほうそうはい)と呼びます。蜂巣肺は、単純X線で輪状の陰影、CTではまさにハチの巣のような輪状陰影の集合として見えます。

b.呼吸機能検査;肺のふくらみや酸素を取り込む能力を調べ、重症度を判定する際の目安にします。吸い込んで吐き出せる空気の量(肺活量)を測定します。体格や年齢から求めた平均値との比率を%肺活量といい、重症度の良い目安になります。また酸素を取り込む能力を評価する拡散能検査を行うこともあります。%肺活量、一秒率、一酸化炭素拡散能の低下がみられます。これは重症度判定の目安になります。

c.血液検査;大きく分けて、炎症の強さを調べる検査と肺組織の破壊の程度を調べる検査に分けられます。炎症の程度を調べる検査としては、LDH、血沈、CRPなどがありますが、これらは間質性肺炎に特異的なものではなく、かぜや通常の細菌性肺炎でも上昇します。後者の肺組織の破壊の程度を調べる検査としてはSP-A、SP-D、KL-6といったものがあり、これらの上昇は間質性肺炎に特徴的で、間質性肺炎の勢いや治療効果の判定に信頼性が高い検査です。

また特殊検査としては以下のものがあります。

a.気管支鏡検査;口から内視鏡を気管支の中まで入れて、直接気管支や肺からサンプルを採り、炎症の状態や炎症に関わっている細胞の種類、線維化の程度などを調べる検査です。局所麻酔をしますので、原則として入院が必要です。気管支鏡検査では主に気管支肺胞洗浄(BAL)と経気管支肺生検(TBLB)という2つの手技を行います。BALは生理食塩水を使って肺の一部を洗う検査です。洗って吸引回収してきた液にどのような細胞がどのくらい含まれているかで、病型の判断の目安にする他、治療に反応しそうかの予測に役立てます。TBLBでは数ミリ大の肺組織を採取して、病理診断に役立てます。気管支鏡検査に伴う合併症として、呼吸状態の一時的な悪化や気胸、出血などが起きることがあります。

b.外科的肺生検;呼吸器外科に依頼して行います。BALやTBLBで正確な病型の診断がつかず、かつ治療の必要性が高い場合に行います。胸腔鏡を使う方法と開胸する方法とがあり、数センチ大の肺組織を採取して、詳細な病理診断を行います。

c.アイソトープ検査; ガリウム67という放射性物質で標識したクエン酸を注射し、2日後に撮影する検査です。炎症の強い部位にクエン酸が集積する性質を利用して、病変の強さや拡がりを調べます。

過換気症候群

過換気症候群(Hyper Ventilation Syndrome)とは、精神的な不安によって過呼吸になり、その結果、手足や唇の痺れや動悸、目眩等の症状が引き起こされる心身症の一つです。このとき血液がアルカリ性に傾き、呼吸性アルカローシスとなっています。
一般に過呼吸と称されるものとの違いは原因が「精神的な不安」にあることであり、過呼吸症候群は呼吸を多く必要とする運動の後に起こるという点が異なりますが、発症後の症状はほぼ同じです。発症しやすい人としては几帳面・神経質な人、心配症であり、考え込んでしまう人、10~20代の若者、自己犠牲の多い人などがあげられます。

症状としては息苦しさ、呼吸が速くなる(呼吸を深くすると胸部に圧迫を感じる)、胸部の圧迫感や痛み、動悸、目眩、手足や唇の痺れ、頭がボーとする、死の恐怖を感じる、(まれに)失神などがあります。息苦しさ、顔や手足のしびれやけいれん、頭がボーッとするといった過換気症候群の症状は、不安や悩みなどの心理的なものが原因とされていいますが、同じ息苦しさでも肺の機能不全などによって起こる過呼吸症候群などもあり、違いを知っておく必要があります。
肺機能が低下した場合は、呼吸ができず酸素が不足するので、きわめて危険で死亡する場合もあり、酸素吸入などの処置を行います。ところが、過換気症候群の場合は、酸素の量が増大することによって起こる息苦しさなので、死ぬようなことはありません。しかしまれに心臓発作などを誘発し死に至るケースがあります。

過換気症候群は、呼気からの二酸化炭素の排出が必要量を超え動脈血の二酸化炭素濃度が減少して血液がアルカリ性に傾くため、息苦しさを覚えます。そのため、無意識に延髄が反射によって呼吸を停止させ、血液中の二酸化炭素を増加させようととします。しかし、大脳皮質は、呼吸ができなくなるのを異常と捉え、さらに呼吸させようとします。また、血管が収縮してしまい、軽度の場合は手足の痺れ、重度の場合は筋肉が硬直します。それらが悪循環になって発作がひどくなっていくのです。

発作時に、動脈血の酸素濃度と二酸化炭素濃度を病院で調べれば、診断は容易につきます。これは少量の採血で即刻(1分間)診断されます。発作時には血中の二酸化炭素濃度が異常に下がり、逆に酸素濃度は高くなっています。

対処法としては呼吸の速さと深さを自分で意識的に調整すれば2~3分で自然に治まります。このことを利用し、万一発作が起きた場合は、介助者は何もせずに、大丈夫だ、安心しなさいと、患者を落ち着かせ、息を吐くことを患者に意識させ、ゆっくりと深呼吸をさせる(「吸う:吐く」が1:2になるくらいの割合で呼吸する。一呼吸に10秒くらいかけて、少しずつ息を吐く。また息を吐く前に1~2秒くらい息を止めるくらいがベター。胸や背中をゆっくり押して、呼吸をゆっくりするように促す)などの呼吸管理によって、二酸化炭素を増やしながらも、酸素を取り込んで、窒息しないように呼吸管理をすることが、推奨されています。

かつては紙袋などに口・鼻をあて、吐いた空気を再度吸い込むという行為をくり返し、血中の二酸化炭素濃度を上げる方法(ペーパーバッグ法)がしばしば試みられました。この場合、酸素不足にならないよう、少し隙間を作っておくなどの配慮が必要で、その加減が難しく、袋を用いる方法は有効性よりもむしろリスクの方が大きいという意見もあります。誤った処置(袋をぴったりと口・鼻に当ててしまい、外気を遮断してしまうなど)により、発作時には、酸素が多すぎた状態から、一気にバランスが逆転し二酸化炭素が多くなり過ぎて、窒息死に至ったケースも報告されています。また頻呼吸や過剰呼吸が見られるのは過換気症候群だけではなく、例えば肺水腫で呼吸が乱れているときにペーパーバック法を行なうと症状が悪化し、時に死をもたらすので、慎重な鑑別診断が必要となります。

突然の過呼吸発作のため不安になって病院に駆け込んでくるような人には、不安が強すぎるためにペーパーバッグ法だけでは発作がなかなか治まりません。このような場合には、精神安定剤の注射が非常によく効きます。どんな心身症にも言えることですが、病気について主治医から詳しい説明を受け、とりあえずこの病態について知識をしっかり身につける事が大切です。発作用にいつも精神安定剤の頓服を携帯するという手段など様々な安心方法を身につければ、しだいに過呼吸発作が怖いものでなくなってくるでしょう。

咳喘息

慢性的な痰を伴わない咳(いわゆる空咳)が長く続くのが咳喘息の特有の症状といわれています。軽い咳から始まって次第に悪化する人もいれば、突然のひどい咳にみまわれる人もいます。夜間や早朝に悪化しやすく、カゼなどの感染症、タバコの煙、気温・湿度変化、会話、運動が引き金になることもあります。
春や秋など特定の季節に症状がひどくなる場合もあり、アレルギーの関与もあります。寒暖の差が大きな季節、長時間にわたり会話するなどのときに、のどに乾いた感じがしたり、あるいは激しい咳のために夜中に目がさめるといった症状を訴える人も多いです。
咳喘息は、症状があるのに治療せず放っておくと、本格的な喘息になってしまういわゆるアラーム信号がなっている状態ともされます。また通常のカゼをきっかけに咳喘息に移行してしまうケースもあり、咳止めの効かない「空咳」が続くときは、要注意です。

通常の喘息と共通しているといわれる点は空気の通り道である気管に、アレルギーによる炎症がおきている状態ということで、異なる点としては喘息に特有の「ゼーゼー」あるいは「ヒューヒュー」といった息苦しい呼吸や、粘り気のつよい痰がみられず、多くは風邪と思われてしまうような症状であるということです。

咳喘息の診断基準は

  • ・喘鳴(ゼイゼイ・ヒューヒュー)を伴わない咳が8週間以上持続する
  • ・今まで、喘鳴、呼吸困難などの喘息になったことがない
  • ・8週間以内に上気道炎(かぜ)にかかっていない
  • ・気道過敏性の亢進(少ない量の刺激薬に気道が反応してすぐに気道が狭くなること)
  • ・気管支拡張薬がよく効く
  • ・咳感受性は亢進していない(咳をしやすい状態ではない)
  • ・胸部X線で肺炎などの異常を認めていない

のうち、すべてを満たすと「咳喘息」と診断します。

しかし、このすべてを検査するのは大変ですので、喘鳴を伴わない咳が8週間以上続くことと、気管支拡張薬が効くことの2点で診断している場合があります。ただし、咳が8週間も無治療で様子見することはありませんので、3週間以上続くと、咳喘息の可能性があります。3週間以上咳が続く場合は、受診することを勧めます。

通常,胸部レントゲン写真撮影では異常を認めません。肺機能検査では軽度の気流制限が確認されることもあり、気管支喘息と同様な傾向を示します。血液検査でアレルギー反応を認める場合もあります。血液検査やたまに出てくる痰の中に、好酸球と言う白血球が多くなっています。
息を吐いたときの呼気の中に、一酸化窒素が多く含まれていて、その一酸化窒素の値が高いので、気道に炎症があると考えられています。気管支喘息と同じように気道の過敏な状態が続いているため、通常のカゼ薬は効きません。カゼと異なり気管支拡張薬が効果を示します。
この他,気管支喘息と同じく気道の炎症をおさえるために吸入ステロイド薬を使います。喘息への移行を防ぐ意味でも吸入ステロイド薬は有効です。抗ヒスタミンを使うこともあります。タバコ環境(自分あるいは同居の方など)にある人は禁煙が必要になります。適切な治療を受けなかったり、治療が不十分だったりすると再発したり、気管支喘息に移行することがあり、難治化することもあるので注意が必要です。

気管支喘息とCOPD

慢性的に気流閉塞を示す疾患には慢性閉塞性肺疾患(COPD; Chronic obstructive pulmonary disease))、気管支喘息、さらに気管支喘息とCOPDが合併した病態であるACOS(asthma and COPD overlap syndrome)があります。
COPDとは「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することで生じた肺の炎症性疾患である。呼吸機能検査で正常に復することのない気流閉塞を示す。気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変が様々な割合で複合的に作用することにより起こり、通常は進行性である。臨床的には徐々に生じる労作時の呼吸困難や慢性の咳、痰を特徴とするが、これらの症状に乏しいこともある」と定義されます。
また気管支喘息は「成人喘息は気道の慢性炎症、可逆性のある種々の程度の気道狭窄と気道過敏性の亢進、そして、臨床的には繰り返し起こる咳、喘鳴、呼吸困難で特徴づけられる閉塞性呼吸器疾患である」と定義されます。ACOSは「喘息に関連づけられるいくつかの特徴とCOPDに関連づけられる」とされています。したがってACOSは喘息とCOPDの療法の特徴を有します。

これらの疾患の治療は、喘息は吸入ステロイド(ICS; inhaled corticosteroid)およびICSと長時間作用性β2刺激薬(LABA; long acting β2 agonist)の配合薬(ICS/LABA)が中心であり、長時間作用性抗コリン薬(LAMA; long-acting muscarinic antagonist)はステップ3の治療を行っても症状が残る重症持続型喘息で用いられます。COPDはLAMAとLABAによる気管支拡張療法が中心で、ACOSと増悪を繰り返す症例にはICS/LABAを使用します。

COPDの診断では、胸部X線(レントゲン)検査・CT(コンピュータ断層撮影)検査やスパイロ検査などを実施します。肺や気管支の状態をさらに詳しく調べるために、HRCT(より精密に撮影ができる高分解能CT)やヘリカルCT(X線を体にらせん状にあてて、体の内部を立体的にみるCT)などの検査をすることもあります。スパイロ検査はCOPDの診断には欠かせません。この検査では、スパイロメーターという測定器械を使い、肺活量と息を吐いた時の空気の通り具合を調べます。検査方法は、測定用のマウスピースをくわえた状態で、いっぱいに吸った息をできるだけ速く吐きだすという簡便なものです。
スパイロ検査は、息を吐くときの空気の通りやすさを調べます。COPD患者さんでは、息が吐き出しにくくなっているため、1秒量(FEV1)を努力肺活量(FVC)で割った1秒率(FEV1%)の値が70%未満のとき、COPDと診断されます。また病気の進行に伴い、1秒量が予測値(年齢、性別、体格が同じ日本人の標準的な値)よりも低くなっていきます。COPDの病期は予測1秒量に対する比率(対標準1秒量:%FEV1)に基づいて分類されます(下記の表を参照)。またCOPDの重症度は、呼吸機能に加えて労作時の呼吸困難などの症状や運動能力低下の程度、併存症の有無、増悪の頻度などから総合的に判定されます。スパイロ検査は当院で受けられます。喫煙歴のある40歳以上の方は、ぜひ一度スパイロ検査を受けてください

現時点でCOPDを根本的に治し、もとの健康的な肺に戻す治療法はありませんが、少しでも早い段階で病気に気づき適切な治療を開始することで健康状態の悪化と日常生活の障害を防ぐことができます。COPDの治療法としては、禁煙、薬物療法、呼吸リハビリテーションなどが行われます。さらに重症になれば、酸素療法や外科療法が行われることもあります。また、喘息を合併している場合や骨粗鬆症、心・血管疾患、消化器疾患、抑うつが併存する場合、肺合併症がある場合にはそれらを考慮した治療が必要になります。

禁煙;COPD治療の第一歩は禁煙です。喫煙を続けるかぎり、病気の進行を止めることはできません。まずは、きっぱりとたばこをやめることが重要です。たばこに対する依存性の強い人は当院で処方しているコチンパッチやニコチンガムなどのニコチン代替療法や、非ニコチン製剤の飲み薬を使って、禁煙する方法もあります。

ワクチン;COPD患者さんは、感染症が重症化しやすくかつCOPDの増悪原因となることから、ワクチンの接種が重要です。増悪を防ぐためのワクチンにはインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの2種類があります。特にインフルエンザワクチンは重篤な増悪を減少させ、死亡率も約50%減少させると報告されています。また、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを併用することによって、インフルエンザワクチン単独の場合に比べCOPDの感染性増悪の頻度が減少することが報告されています。すべてのCOPDの人とその家族、介助者にも接種をお勧めします。

薬物療法;COPDの治療目標は病気の進行をくい止めて、QOL(quality of life:生活の質)を改善し、少しでも健康的な生活が送れるようにすることです。COPDでは気管支が収縮し、呼吸が苦しくなるため、気管支を拡げて呼吸を楽にする気管支拡張薬が薬物治療の中心となります。その他、痰をとる喀痰調整剤、感染症を防ぐ抗生物質や、増悪を繰り返す場合には吸入ステロイド薬を使用することもあります。

気管支拡張薬

短時間作用性抗コリン薬および短時間作用性β2刺激薬;短時間作用型の気管支拡張薬は運動時や入浴時など日常生活での呼吸困難の予防に有効です。気管支を拡げる作用は抗コリン薬の方が強く、気管支を拡げる効果はβ2刺激薬の方が速くみられます。

長時間作用性抗コリン薬;COPD患者さんで最も効果を示す気管支拡張薬と考えられています。長期間使用しても効果が弱まることがありません。長時間作用性抗コリン薬は、1回の吸入で作用が24時間持続し、1秒量や努力肺活量の改善効果が翌朝まで認められます。長期的には、COPD患者さんの疾患の進行や死亡率を抑制する可能性が報告されている薬もあります。一方、閉塞隅角緑内障の患者さんでは禁忌であり、前立腺肥大症患者さんの排尿困難症状を悪化させることがあります。

長時間作用性β2刺激薬;β2受容体を刺激することで気管支平滑筋に働き気道を拡張します。吸入型の長時間作用性β2刺激薬は1回の吸入で作用が12~24時間持続し、長期間使用しても効果の減弱を認めません。わが国では、効果は劣るものの夜間症状やQOLの改善に優れた、貼付型のβ2刺激薬も使用されます。

メチルキサンチン;一般的に1秒量の改善効果は吸入の気管支拡張薬より小さいとされますが、末梢気道の拡張作用や呼吸筋力の増強作用が報告されています。また、低用量テオフィリンは気道の炎症細胞を減少させることが示されています。

ステロイド(グルココルチコイド)

長期間作用性β2刺激薬 / 吸入ステロイド薬配合薬;長期間作用性β2刺激薬 / 吸入用ステロイド薬配合薬は、それぞれ単剤で使用するよりもCOPD患者さんの呼吸機能や運動耐性能、呼吸困難感を改善し、増悪頻度も減少させます。長期的には気流閉塞の進行を抑制する可能性が報告されています。ステロイド薬の経口・注射投与増悪時には経口あるいは注射によるステロイド薬投与が有効です。現在ではβ刺激薬、抗コリン薬、ステロイドの3種類が入った合剤の吸入薬もあります。抗生物質と併用されることもあります。

喀痰調整薬 COPDの増悪頻度と増悪期間を減少させることが示されています

マクロライド COPDの増悪を抑制することやQOLを向上させることが報告されています。

呼吸リハビリと在宅酸素療法について

呼吸リハビリテーションは、呼吸器の病気によって生じた障害を持つ患者さんに対して、可能な限り機能を回復、あるいは維持させ、これにより、患者さん自身が自立できるように継続的に支援していくための医療です。その中でも中心となるのが運動療法で、自覚症状の軽減、運動能力の向上、QOLの向上といった効果が期待できます。

酸素療法;肺機能の低下が進むと、普通の呼吸では十分に酸素を取り込めなくなり、低酸素血症を起こし、呼吸不全という症状に陥ります。家庭で持続的に酸素を吸入する在宅酸素療法を行うことで、患者さんのQOLが向上し、生存率が高まります。
在宅酸素療法の適応となる患者さんの多くはⅣ期(極めて高度の気流閉塞)です。薬物療法などを行っても、1ヵ月以上低酸素血症が持続している人で、通常の呼吸で動脈血の酸素分圧が55Torr以下の場合、あるいは動脈血の酸素分圧が60Torr以下で、運動時や睡眠時に顕著な「低酸素血症」を起こす場合です。さらに、病態が安定しており、他に入院などして治療する必要がないことも条件となります。また、医学的な適応条件だけでなく、患者さん本人の自己管理能力や、住まい、介護者の有無、生活パターンなど、多面的な条件を考慮する必要があります。

外科・内視鏡手術;COPD治療の中心は内科的治療ですが、さまざまな内科的治療を行っても症状が改善しない場合、外科的な治療が行われることもあります。COPD患者さんは、肺胞が破壊され、弾力性を失って、肺が膨張しています。一部だけが膨張した肺を縮小させるために、極度に破壊された肺の一部(20~30%)を切除する手術が行われます。その手術には、開胸しないで胸腔鏡を用いる方法も使われます。外科的治療がすべてのCOPD患者さんに効果があるわけではなく、また根本的な治療でもないため、十分に医師や家族とともに検討することが必要です。

災害時の対応;地震などの災害時の対応については、平常時から起こりうる状況を想定し、対策を準備しておくことが重要です。特に、在宅酸素療法などの在宅で機器を使う治療を行っている場合、酸素供給が途切れるなどした場合の行動について、患者さん本人に加えて家族の方やヘルパーなども、平常時から以下のような項目について把握し、準備しておくことが重要です

  • ・ボンベなどの備蓄と切り替えのタイミングや動作、酸素なしで許容される時間
  • ・口すぼめ呼吸のトレーニング(酸素供給が途絶えた際の不安や低酸素血症の緩和に有効)
  • ・パルスオキシメーターの使用と考え方
  • ・酸素吸入量の調節の許可についての確認
  • ・病院や酸素業者への緊急連絡の方法
  • ・避難先
  • ・薬剤が切れたときの対処法

また在宅酸素療法を行っているCOPD患者さんの場合には、酸素供給が途切れてもすぐには問題は起こりませんので、実際に災害が起きたときにはパニックにならずに落ち着いて対処することが大切です。
COPDでは、呼吸困難、せき、痰などの症状が短期間で急激に悪化することがあります。呼吸困難が悪化する、たんが増える、痰が粘っこくなるなどの症状が急に現れたら、早めに受診して下さい。

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